黙ってて良い事なんか何も無かった
私は緘黙症なので、
子供の頃から現在に至るまで挨拶が出来ない。
「おはよう」「こんにちは」「さようなら」、全部ダメ。
「ありがとう」「ごめんなさい」、もちろんダメ。
産まれてこの方一度も言えた例が無い。
子供の頃、何を言われても黙っている状況で、
それを「狡い」と言われた事が何度もある。
黙っている事は狡い事なんだって、
わざわざ教えに来てくれる人がいつも居たし、親もそうだった。
私が、長期に渡り「話さないで居る事」から起こる弊害なんて、
全く想像出来ないみたいだった。
昔はこれについて、傷付いてたと思う。
「狡い」と言われるような事はやっていない、と思ってたから。
これは今でも思う。
黙ってる事は狡い事でも、まして悪でも無いだろう。
今、これに対してあるものは怒り。
緘黙という名前をずっと知らなかったから。私も、周りも。
知らずに、「何年も私が悪いって事にしやがって」という、
腹の奥底から込み上げるは怒りです。
黙ってて良い事なんか何も無かった。
いつだって、嘲笑の対象になり、呆れられるか、
「狡い」と怒られるだけだった。
「何も言い返さない」事が分かっているから、
どんな罵詈雑言でも投げつけられるのだった。
好きで「話さない」をやっているのではない。
いつでもそう思っていたけど、それを伝える術は、声は、
やはり私には無かったので、
いつも怒りと失望を抱えていた気がします。子供の頃(今も)