ゆるやか下降~のっそり上昇~

ひきこもりだけど映画館に入り浸ってる女。場面緘黙当事者。フェミズム勉強中。

2019映画ベスト10

 

今年も一年映画見てました。

今年映画館で見た数は(新旧含め)およそ115本。

いや見過ぎ。100本以内とか言ってたけど、何か気づいたら超えちゃってるんだよね~…。でも同じ映画は3回まで、と決めて守ってましたけどね。さすがに去年は、バーフバリが…さ……(14回見た)

今年も素晴らしい作品、あんまりだった作品、記憶から消し去りたい映画、色々でした。

以下、私の今年のベスト10です。全て個人の主観でございます~~~~。

 

 

1位「キャプテン・マーベル

俺たちのキャロルパイセン

 

公開当時、「ワンダーウーマンにハマれなかった(エンパワメントされなかった)女性に」という声がありましたが、その声も分かる。ワンダーウーマンは美しすぎだし、完璧すぎだし、ていうかそもそも人間じゃないし…確かに感情移入や自己投影することは難しいかも知れません(それでも私はあの映画から勇気をもらったし、大好きなのですが)

その点、キャロル先輩は違う。非常に人間くさく、欠点もあり、マイペースで感情豊かな女性です。

私はキャロルが、地球に降り立ってからずっと笑顔を見せないシーンが続く事に静かに感動していました。ブリー・ラーソンの表情は「仏頂面」でも「クールにすましている」ワケでもなく、ただただ、ずっと真顔だったからです。女の真顔が、あんなにも長い間スクリーンに映し出されているところを見たのは私の記憶上では初めてで、こんな事ってあるんだ、と思いました。女性は時として男性から、社会から「笑顔」を強要される場合があります。「女は愛嬌」という言葉もいまだ死語と化していない現状。ブリー・ラーソン自身、ツイッターでアンチから「なぜキャプテン・マーベルはポスターで笑顔を見せないのか?」みたいなクソリプに他の男性ヒーローを無理やり笑わせた表情の画像を貼って応戦していましたよね(ブリーは最高)

だからキャロルがあまり笑顔を見せないヒーローである事が私は何かとても嬉しかったんです。彼女はずっと真顔ですが、楽しいに時は思い切り笑うし、ユーモアもあるし、敵との戦闘時には叫びもします。彼女がずっと真顔なのは、「楽しくもないのに笑えない(笑わない)」というだけの事。親しくもない人には隙を見せない。ただそんだけ。そんなマイペースで自由で自然なヒーローが2019年に見られた事実がうれしかった!そしてキャロルのセクシュアリティが特にはっきりと描かれていない事も本当に良かったですね。その分(?)シスターフッド、女性間のつながりが強く明確に描写されていて、本当に「今の映画」という感じでした。男と恋愛しなくたって、セクシーなぴたぴたスーツを着なくたって、私らはヒーローになれるんだぜ。

 

「俺を納得させたかったらお前の価値を証明してみせろ」的な事を言うてくる男に対しての、「お前に証明する必要なんかない」「私の価値は私が決める」という、強烈なカウンター。私はこれは本当に、ひとつの真理で、正解だ、と思いました。何より大切な事を言ってる!って。

自分の価値を測ろうとする相手の土俵に上がってやる必要なんて無いという事をキャプテン・マーベルは教えてくれました。本当に大切な作品です。愛。

 

 

2位「スパイダーバース」

 きみもスパイダーマンになれる

 

昨年「ヴェノム」のエンドロール後にちらっと見た予告では一mmも興味をそそられなかったワケですが(見る目がねぇ)、本当に素晴らしかったですね。未だかつて見た事のない映像がそこにはありました。見るアメコミ、キメる映画。バキバキの色彩、最高です。多様性に満ちた素晴らしい世界観。黒人も、少女も、中年男性も、モノクロの探偵も豚だってヒーローになれる!そんな可能性と力強いメッセージに満ちた素晴らしい作品。見終えた後、静かに自信と勇気が湧いてきた作品です。うちもスパイダーマンになれる!(かも、しれない)

マイルス君は最高にキュートで愛おしく(スーツを黒く塗りつぶすのが最高だね)、ペニー・パーカーちゃんの「はじめまして~↑こんにちは~↓よろしくー↓↓」には心を持ってかれたり、メイおばさんの活躍っぷりにも嬉しくなりましたが、私の最推しはなんつったってグウェンちゃん。最高にイケ。今年一番イケてる女。

私はこの夏からサイドの髪を刈り上げるようになりましたが、グウェンちゃんの影響が無いとは言い切れない。あんなに刈り上げが似合う女が他に居るか????

デザインがマジで最高~~~。ピンクと白と黒の配色!グリーンのバレエシューズ!そしてフード!!最高にイケ~~~。全身タイツなのに一mmもセクシャルに(見えるように)描かれてない事にも感激して見ていました。スマートで筋肉質で、能動的な美しさ!バンドでドラム担当してるところも何かいいですね。好きです!(告)

 

ちなみに私の推しカプはメイおばさん×ドックオクです!いいよね。ときめいた。

 

 

3位「HiGH&LOW THE WOPST」

これぞ真の脚立の使い方

 

…はい。HiGH&LOW、略してハイロー。過去の映画シリーズが「ザワ」とか「レッレ」とか呼ばれている、皆さんご存じあの作品。2016年にTLのオタクがトチ狂っているのを見て、一回ちょっと見た(その時は何故かレッレから見た)事があったんだけれど特にハマらず、時は流れ2019年10月。またしてもざわつくTL。その中でも特に目にした、「小田島有剣というヤバい男がいる」という情報(&凄まじいビジュアル)特に何も考えずにフラ~っと見に行ったら、無事脳を焼かれました。小田島、スゴかったですね。でも私は鬼邪高の女(※二ヵ月目)なのです、ハイ。。。

ザワは私のうっすらとしたハイロー知識でもついていける親切設計&鬼邪高スピンオフなので、入門編として見に行くには最適だったなと思います。しかし鬼高生、定時が全員成人済で、その道からのスカウトを待っているとは知らなかったつーか思いもしなかった。設定が凄まじい。

十分にトンチキに思えるストーリーですが、シリーズ全作を見終えた今、ザワの脚本が大変にまともだった事を思い知りました。ちゃんと道筋が通っている…高橋先生ありがとう。。。

 

潤沢な予算を感じさせる素晴らしい衣装、美術(絶望団地の異常な作り込みよう…!)華麗に俊敏に動ける人達の素晴らしいアクションの数々!

見ている間ずっとアドレナリンぶち上げ状態だったわけですが、素晴らしく斬新な脚立の使い方、華麗なフラグ回収投石シーンで私のテンションはマックス。その時、私の脳内には「バーフバリみたい…!」という歓声が沸き上がりました。そう、バーフバリみたいだったんです。「王の凱旋」で初めてあの木のしなりを生かした戦闘方法を見た時の感激が蘇りました。今この場が応援(またはマサラ)上映だったらば、きっと「脚立の使い方が上手い!」と絶叫している人がいた事でしょう(?)真の脚立の使い方を見ました。

ちなみに応援上映は2回行きましたが、聞こえてきた単語2トップが「治安が悪い」「顔が良い」で最高でした。たった二つのワードで明確に世界観を言い表せている。

治安が悪い地区に集いし、顔が良い男たち(のバチバチアクショントンチキ映画)それがハイロー。今年一番うれしかった事は、私もそんな世界を愛する側のオタクになれた事かも知れません。

 

ちなみに私の推しはみんな大好き轟くんです!最高よね。幸せになってくれ。

 

 

4位「ブラインド・スポッティング」

同じ世界を見る事は出来ない

 

私はこの映画の最後、コリンのラップのシーンでどうしようもなく涙がこみ上げました。堰を切ったように流れ出るリリック。分かっているようで分かっていなかった事実を突き尽きられた気がした。

オークランド、そしてアメリカで黒人として生きるとはどういう事なのか。

幼馴染で親友の白人の青年、マイルズには許される言動が自分がやると世間の反応は全く異なる。マイルズはマイルズで、同じ文化圏、同じカルチャーで育って来ているのに、白人である事を理由によそ者として扱われる。

マイルズの息子が銃を手に取るシーン。あんなに恐ろしいシーンは無かった。

そして、あんな子供に対して、警官に「撃たないで」と懇願する方法を教えなきゃならない現実がしんどすぎた。しんどい…。

最後、「どうして俺は生まれた町でモンスターのように扱われなきゃならない」というコリンの叫びが突き刺さる。そして私が思ったのは、この国の排外主義的思想。特定の民族の人々をまるで犯罪者かのように扱う一部(と思いたいんだよ、ほんとに)日本人の意識。私は悲しかったし、苦しかった。

それでも絶望は感じなかったのは、二人の間に言葉が、希望があるからだろう。同時に両方を見る事は出来ない。それでも世界に目を向けていたい、と思わせてくれる作品。

 

 

5位「イップ・マン外伝 マスターZ」

マックス・可憐・チャン

 

みんな大好きイップ・マンシリーズ初の外伝。

マックス・チャンがとにかく可憐で憂いを帯びまくっており、見ている間中ずっと「可憐だ…」と思っていました。とにかく顔が可愛い。線が細い。

作中、木人椿がただの服かけ機と化しているシーンがあり、「やっぱ使ってないとそうなるよな~」という妙な納得感が。

とにかくみんなよく動き、ビシバシと技が決まる。見ていて非常に気持ち良い痛快な作品。デカい刃物を振り回す為に生まれてきたみたいなミシェル・ヨー、最高オブ最高。抱いてくれ。

 

 

6位「ゴッズ・オウン・カントリー」

ハッピーボーイズ(ラブ)映画

 

誰も死なねぇゲイ映画

 

「どっちかが死ぬか、二人とも死ぬか」でお馴染みゲイ(というかLGBTQ)映画界ですが、誰も死なず、誰も殺さず、自らのセクシュアリティも特に重視せず、どこにも逃げない、ここで生きていく愛の物語だった…。本当に、寂しくて、苦しくて愛おしい物語です。

これを見てゲオルゲにときめかない人間など居るのだろうか。私はしみったれた地元で「ここに居るしかない」と思いながら生きている人間なので、ずっと「ジョニー、良かったねぇ」と思いながら見ていました。

愛だね、愛。

 幸せになってくれよ。

 

 

7位「ラストクリスマス

この眉を見ろ

 

大好きなポール・フェイグ監督作品。今年は「シンプル・フェイバー」もありましたが、クリスマス時期に見たこの作品には本当に特別な作品となりました。

ワム!ラストクリスマスの歌詞もミリしらで見に行ったので後半の展開は想像もしていなかったので新鮮に驚けたのですが、とにもかくにもポール・フェイグの誰も置いてかない優しい姿勢に感激しながら見ていました。特に、旧ユーゴ移民の主人公(エミリア・クラーク)がバス内でレイシストにヘイトを浴びせられた移民者に対するナイスな反応には感動するとともに、日本で同じような場面に面した場合、私も同じように出来るだろうか…と考えました。理想は、あぁありたいです。私も。

移民も有色人種もセクマイもホームレスも誰一人置いてかねーぞ!という姿勢。各方面に優しさとユーモア、少々の毒が溢れた万人に勧められる素晴らしいクリスマス映画です。

 

そしてエミリア・クラークの眉芸がすごすぎて本当に感心してしまった。信じられないほど豊かな表現力を宿したあの眉毛。あれは完全に意志を持っているのだろう。最高です。優勝!ヘンリー・ゴールディングも相変わらずハンサムで、かつ得体が知れない役をやらせたら天下一ですね。ラブだよ。

 

 

8位「アラジン」

史上最高のアップデート

 

私はディズニーの実写とはあんまり気が合わなくて(オーロラ姫がエルちゃんなところが特に)(未だに)見ても「そんなやったな」という感想になる場合が多いんすが、アラジンは良かった。本邦では青いウィル・スミスで盛り上がっていましたが、普通にジーニーで良かったですね。何より、ジャスミンのアップデートが素晴らしかった!オリジナルではソロ楽曲をもらえなかった彼女が自分の声を叫ぶ歌を与えられ、そしてプリンセス自らが王位を掴み取る時代になったのだなぁ、と思いました。ほんとうに素晴らしいアップデートだったと思います。ナオミ・スコット・ジャスミン、最高。

侍女の存在も良かったですね。ちゃんと女性間で会話が、絆がある!最後ジーニーとあぁなるのは…ちょっと、「出た、ヘテロ規範~~~!(キッツ~~~!!)」って感じでしたが、まぁそこはディズニーなので、ね…(うーーーん)

 

あと私はアニメのアラジンはアラジン(のジャスミンに対する若干上から目線かつナメた態度)がムカつくから全然好きじゃなかったんすが、メナ・マスード君演じるアラジンはキュ~トで人間味(小僧味)があり、大変、良かった。ベリーキュ~ト。

あとジャファーの解釈もよかったですね。まぁ、ホワイトウォッシュ具合は気にかかりますが…そしてオリエンタリズム……(うーんん)

諸々気にかかる事はあり、100点満点、大傑作!とは私は思えませんが、今までのディズニー実写作品では私はアラジンが一番好きだな、と思いました。ハイ。

 

 

9位「エイスグレード 世界で一番クールな私へ」

お前は俺か

 

私はこういう、田舎で孤独にくさくさしてるやさぐれティーン女子映画(長い)が大変に好きで、見ると感情移入と共感性羞恥で死にたくなる事請け合いです。「スゥート17モンスター」とか「レディ・バード」とかな…身につまされながら、「分かる、分かるでぇ…!(心の底から)」と思いながら見ては消耗するワケです。自分の事を思い出す。今作も素晴らしいやさぐれティーン女子映画でした。しんどい。

ケイラ(主人公)が、学校では誰とも仲良く出来ていないのに、配信してる動画内ではクラスの人気者という体で視聴者(居ない)に何かアドバイス的な事を語ってるところを見た瞬間、「じ、自分~~~!」と思いました。身に覚えがありすぎる。お前は俺か。

私も10代の時、ブログで夢を持つことの尊さとか人生論、生きることの意味など、語りまくってたから…(※引きこもりの不登校児)

ケイラの誰も見もしない動画を上げ続ける姿に私は昔の日を思いました。誰も見もしないブログを上げ続けていた日々を思い出さずにはいられず、苦しくなりました。

 

「もうやめて」と「幸せになってくれ…」と呻きながら見た映画。しんどいけど、愛しいよ。。。

 

 

10位「スノー・ロワイヤル」

この死に方がすごい!2019

 

「死に方が良い映画2019」ランキングがあればダントツ1位でした。それくらい死にっぷりが良い。ぽんぽんぽんぽん人が死ぬ。やたらと手慣れたリーアム・ニーソンが殺していく。そしてとっても新しい!とても楽しく見られました。ネイティブアメリカンの描写も誠実で、一人紛れ込んでいるインド人の下りは笑った。人が軽快に死ぬ映画が見てぇ~~~!って時には、おすすめ。面白いぞ。

 

 

……はい。今年はこんな感じでした。

今年は色々なシリーズ(アベンジャーズ、ゲースロ、SW…)の終わりを迎えた年でしたね。それぞれに寂しさと、そして思うことはありました。

ゴミクソ政策により増税し、映画一回、一般料金が最早大人1900円の時代です。

私は障害割引が利用出来るから今の映画生活を始める事が出来ました。でもそれもいつまで続けられるのかは分かりません。

迷える時代に生きていますが、来年ものっそりひっそりと映画を見て生きていくつもりです。

今のところ、一番楽しみなのは大好きなポン・ジュノ監督「パラサイト」と、公式ツイッター(での文体)が異様に怖い事でお馴染み「ミッドサマー」です。見るぞ!生きるぞ!!

 

 

では、また。。。